北朝鮮人権情報センターニュース(5)教化所作業中の死亡 安全装置や事故措置は皆無  

└ 2012-02-10 11:42

北朝鮮人権情報センターニュース(5)教化所作業中の死亡 安全装置や事故措置は皆無 


ドンヒョイル他3人の拘禁者が教化所内の事故で死亡

事件の概要

2009年3月前巨里教化所2課1作業班拘禁者だったドンヒョイル他3人が、安全装置および事故に対する措置が皆無の教化所内の洞窟で、採掘作業をしていた内に天井から落ちた岩に敷かれ、亡くなったり大ケガをした事件。


事件の発生時期および場所

発生時期(期間) : 2009年3月
発生場所 : 咸鏡北道(ハムギョンブクド)会寧市(フェリョンシ)前巨里教化所2課作業場


人権侵害の類型

権利の類型 : 生命権
侵害の類型 : 外からの直接的行動による死亡
細部な項目 : 劣悪な作業環境で死亡

2009年春、3月前巨里教化所2課1作業班の拘禁者らは、洞窟で採掘作業中だった。 坑は中が広くても入口が狭い形態なので、拘禁者らは坑を出入りする時、常に頭を下げて通らなければならなかった。 光が入らながった昼間も暗い坑内に、光は電球一個がすべてだった。

いつもと同じように先に発破組が鉱石が埋っていそうな所を探して発破をした。 発破後、天井を木の棒で大体つついてみて、鉱石の破片がいくつか落ちるのを確認して出てきた。 以後、採掘組が入ったが、突然ドシンと音がして風が吹き、坑内から煙が吹き出て来た。事故が起きた。

天井から大きい石が落ちて採掘組のドンヒョイルを含む五人が死ぬか、大怪我をした。 ドンヒョイルは石に敷かれて腎臓がさく烈して死んでいたし、ビョン・チョルジンは額に石がぶつかり、黒いホクロのような傷を受け死んでいた。 キム・ジョンチョルは石に敷かれて、助けてと叫んでいたが、石を取り出した後何メートルか引きずり出すと死んでいた。 ソン・グァンナムは落ちた石で足首が切れ、以後病気保釈で出られなかった。 キム・セグォンも腰に大ケガをし教化所病院に入院したが、わいろを与えられず病気保釈で出られなかった。 結局教化所内で死亡した。

事故が起きた後、教化所では死体をプルマンサン(火亡山)に運び、みな焼いた。 ドンヒョイルの母親が翌日面会に来たが、教化所生活中に息子が死亡したという消息を聞いて茫然自失した。 お母さんは嗚咽をし、教化所が自分の息子を殺したととうもろこし粉を壁にばら撒き、気が抜けたまま帰った。

“仕事をする時、安全規則遵守というものはありません。 ただ気を付けろとだけ言います。 洞窟の中は暗くてよく見えません。 初めには見えませんが、電球一つつけてあり、石のどこにひびが入ったのか、どの石が落ちるのか分かりません。 作業しに洞窟に入ると、木の棒で石をつついてみるのが全てです。” -証言者-

被害者

ドンヒョイル (男、1987年生れ、咸北(ハムブク)漁郎郡(オラングン)出身咸南(ハムナム)で軍服務中に分隊長を殺人した罪、死亡)

ピョン・チョルジン (男、1974年生れ、出身地未詳、清津(チョンジン)軍事服務中自動車強盗罪、教化15年刑、死亡)

キム・ジョンチョル (男、1983年生れ、出身地未詳、銅線窃取罪、教化15年刑、死亡)

ソン・グァンナム (男、1970年生れ、咸北清津出身、金商売罪、足首切断後病気保釈)

キム・セグォン (男、1950年代生、咸北セピョル郡出身、食糧貪汚罪、5年刑、2課1班作業班長、死亡)

加害容疑者(機関)

咸鏡北道会寧市前巨里12号教化所

情報提供者

情報提供者は2011年入国者で上の事件を直接目撃した後証言したが、自身の身辺安全上の理由から実名の公開を許諾していない。

情報の出処 : (社)北朝鮮人権情報センター人権調査面接紙

情報受付時期 : 2011年10月

情報受付場所 : 北朝鮮人権記録保存所調査室

情報受付方法 : 面談調査

情報取得および事件分析者 : 北朝鮮人権情報センター研究員

検証者 : 北朝鮮人権情報センター北朝鮮人権事件リポート検証委員会

咸鏡北道会寧市前巨里12号教化所の作業班配置は1〜5課になっている。 この内1課と3課は本所に位置しており、3課は女子教化生だけである。 2課と5課は本所から東南側に1.5km離れていて、主に銅を掘る労働をしている。 4課は本所から東に5km離れた海抜1,000mの高さに位置している。

他の10個余りの教化所の作業班形態も、前巨里教化所の作業班運営実態と似ているが地域別、特性別の差がある。 例えば石灰石が多量に生産される平安南道(ピョンアンナムド)江東(カンドン)4号教化所は全部で12の管理課が運営中で、主に石灰石および金鉱作業がなされている。

本事件の被害者は2課同班に所属した収監者らだった。 2課坑班の坑内作業は全部で三段階から成り立つ。 鉱石が埋まっている所を発見すれば発破組が入って発破をし、続いて採掘組が入って鉱石を採掘する。以後トロッコ組が入って採掘した鉱石を外に運び出す。しかしこの過程で劣悪な作業環境により、数多くの死亡者が発生したし、今も相変らず発生中である。 2008年度前巨里教化所に収監され、2課同班で実際に経験をした北朝鮮離脱住民は、作業環境が想像できないほど劣悪だと証言した。 事件内容にも記述されたように、坑の枕木はみな腐りつつあり、灯りも非常に弱くて命をかけて仕事をしたという。

死亡した者に適切な補償はない。 死亡通知すら家族に出さない。 死体は前巨里教化所の死体安置室に何日間置き、死体の数字が一定部分満たされると火亡山の火の窯で燃やされる。

北朝鮮人権情報センターの「NKDB統合DB」によれば2011年12月7日現在、他の直接的行動による死亡事件は870件であり、細部の項目から見る時、劣悪な作業環境での死亡は90件と記録されている。

1. 生命権

市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部 第10条3項
- 刑務所収監制度は服役者らの更正と社会復帰を基本的な目的とする処遇を含む。

市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部 第6条1項
- すべて人間は固有な生命権を持つ。 この権利は法律によって保護される。 どこの誰も恣意的に自身の生命を剥奪されない。

市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部 第10条1項
- 自由を剥奪されたすべての人は人道的に、また人間の固有な尊厳性を尊重して取り扱われる。

2. 健康権

経済的・社会的および文化的権利に対する国際規約(A規約)第3部第12条1項
- この規約の当事国はすべての人が到達可能な最高水準の身体的・精神的健康を享有する権利を持つのを認める。

経済的・社会的および文化的権利に対する国際規約(A規約)第3部第12条2項
- この規約当事国が同権利の完全な実現を達成するために取る措置には、次の事項のために必要な措置が必要だ。b. 環境および産業衛生のすべての部門の改善; c. 病気発生時、すべての人に医療と看護を確保する条件の造成。

国際非拘束者処遇準則規則 第2部 第62条
- 施設の医療サービスは非拘束者の社会復帰を妨害するような、すべての身体的精神的な疾病または欠陥を発見するように努力し治療しなければならない。 必要なすべての内科、外科および精神科の医療施設が、上の目的のために提供されなければならない。

3. 拘禁施設での労働

国際非拘束者処遇準則規則 第2部 第71条1項
- 教導作業は性質上、苦痛を与えるものであってはならない。

国際非拘束者処遇準則規則 第2部 第71条2項
- すべての受刑者は作業の義務を負うものの、義務官が判定した身体的、精神的適性に合うものでなければならない。

国際非拘束者処遇准則 規則 第2部 第72条1項
- 教導作業の組織および方法は、可能な限り施設外の同種作業と類似するようにして、受刑者を正常な職業生活環境に準備させなければならない。

国際非拘束者処遇準則規則 第2部 第74条2項
- 職業病を含む産業災害から受刑者を保護するための規定が用意されるべきで、この規定は法律によって自由労働者に認められる条件より不利であってはならない。

4. 加害容疑者

朝鮮民主主義人民共和国 刑法第5章 社会主義経済を侵害した犯罪、第4節 
労働行政秩序を侵害した犯罪、第185条(労働保護および労働安全施設を整えなかった罪)項
- 機関、企業所、団体の責任者が労働保護および労働安全施設を整えずに人命被害、その他厳重な事故を起こした場合には、2年以下の労働鍛練刑に処する。前項の行為で多くの人を死に至らしめた場合には、4年以下の労働教化刑に処する。 情状が重い場合には、4年以上8年以下の労働教化刑に処する。

朝鮮民主主義人民共和国 刑法第5章 社会主義経済を侵害した犯罪、第4節労働行政秩序を侵害した犯罪、第186条(労働安全秩序違反罪)
- 労働安全秩序を破って人命被害、その他厳重な事故を起こした者は2年以下の労働鍛練刑に処する。 前項の行為で多くの人を死に至らしめた場合には、3年以下の労働教化刑に処する。 情状が重い場合には、3年以上8年以下の労働教化刑に処する。




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