北朝鮮人権情報センターニュース(8)水も与えられなかった囚人が泥雪を食べて食中毒で死亡  

└ 2012-02-26 09:13

北朝鮮人権情報センターニュース(8)水も与えられなかった囚人が泥雪を食べて食中毒で死亡 

事件の概要

金ジョンアと李スンエは渡江(中国脱出)を試みたが逮捕され、咸鏡北道(ハムギョンブクド)人民保安局松坪集結所に拘禁中の2006年12月末、集結所就業地の強制労働に投入される。 就業地では逃走防止および監視便宜を目的に、夜間にはトイレの個別使用を禁止する。 ために夕食時にスープや飲み水が提供されず、起床後もすぐには飲み水を供給されなかった。 2006年12月金ジョンアと李スンエは同僚と伐木作業のために山に登っている間のどの渇きに耐えられず、周辺の引き止めにもかかわらず地土の雪を食べて大腸炎にかかり、適切な治療を受けられずに二日後の2006年12月27日死亡した。

事件の発生時期および場所
発生時期(期間) : 2006年12月27日

発生場所 : 咸鏡北道人民保安局 松坪集結所 伐採就業地

人権侵害の類型
権利の類型 : 個人の尊厳性および自由権/被害者と拘禁者の権利/個人の尊厳性および自由権/被害者と拘禁者の権利

侵害の類型 : 不法拘禁/強制労働による侵害/拷問および暴行/適切な医療サービス侵害

細部な項目 : 集結所での食飲不許可、生理的欲求解決意志/

金ジョンアと李スンエは脱北を試みてそれぞれ逮捕され、2006年12月当時、咸鏡北道人民保安局松坪集結所に拘禁中だった。伐採副業に動員された集結所の収監者たちは、山にある山林保護員の宿舎で何日合宿するのだが、その時当時伐採作業に動員されたのは二人の被害女性を含み30〜40人程だった。 収監者が山林保護員の宿舎にいる間は、夜間にトイレを言い訳に逃走するのを防止し、警護員の監視便宜を図るために夕方から一切水分が供給されない。 当然夕方の献立から飲み水は勿論汁も外された。

証言者の陳述に沿えば、就業地では収監者たちを就寝前に団体で小便させたが、個別にトイレを使えるのではなく、広場に明かりを照らして全員そこで同時に用をすまさせた。 一旦就寝のために収監者を部屋に閉じ込めると外から扉を閉め、それ以上のトイレ使用を禁止してしまった。 また起床後も、すぐに飲み水は提供されず、午前作業のために山に登る時、すべての収監者がのどの渇きがひどくとても辛がる状態だったそうだ。

2006年12月25日朝、金ジョンアと李スンエは同僚の収監者と共に、警護員の監視の下山に登っていた。 警護員の監視のせいで収監者は隊列を離脱できない状況だった。二人の若い女性は足跡ですでに汚れている土が入り混じった雪を、喉の渇きをこらえ切れず手ですくって食べ山道を登った。 結局その日、金ジョンアは激しい下痢を伴った大腸炎にかかり、二日後の2006年12月27日何の薬も供給されないまま死亡した。 金ジョンアが死亡して一週間後、伐採作業を終え収監者が集結所に復帰した時、李スンエもまた激しい下痢症状に苦しんでいたが結局、彼女も二日後の2007年1月5日適切な治療を受けられないまま死亡した。

“夜におしっこをしに出かけて逃げたりするから、夕食には乾いたご飯だけ与え汁もくれません。 そして扉に鍵をかけて寝ます。おしっこをしに行く時、列を作って行って、灯りで皆を照らしながらしろといいます。”

被害者
金ジョンア (女、2006年当時19才、咸鏡北道鏡城郡(キョンソングン)出身、現在死亡)
李スンエ (女、2006年当時20才、咸鏡南道端川市(タンチョンシ)出身、現在死亡)

加害容疑者(機関)
咸鏡北道清津市(チョンジンシ)道集結所

情報提供者
情報提供者は2011年入国者で上の事件を直接目撃した後証言したが、自身の身辺安全上の理由から実名の公開を許諾していない。

情報の出処 : (社)北朝鮮人権情報センター人権調査面接紙

情報受付時期 : 2011年12月

情報受付場所 : 北朝鮮人権記録保存所 調査室

情報受付方法 : 面談調査

情報取得および事件分析者 : 北朝鮮人権情報センター研究員

検証者 : 北朝鮮人権情報センター北朝鮮人権事件リポート検証委員会

北朝鮮の集結所は北朝鮮の刑法で規定されていない拘禁施設で、強制労働が賦課された一種の臨時収容施設だ。 咸鏡北道清津市松坪区域農圃洞(ノンポドン)に位置する咸鏡北道人民保安局松坪集結所(以下、松坪集結所)は1970年代にでき、当時は犯罪者が予審を受ける前に入れて置く所だった。そして1998年以後、中国へ脱出して捕り入れられる不法越境者を拘禁・管理し、‘不法越境者集結所’と呼ばれるようになる。

集結所に拘禁中の収監者はほとんど、劣悪な食事と不潔な飲み水で胃の病や下痢にかかり、少量の食事と強制労働で栄養失調に苦しめられる。 収監者は原則的に一日に三度食事を提供されるが、一食ごとに提供される食事の量と栄養は非常に劣悪だ。収監経験者の証言によれば松坪集結所の場合、2010年の基準で、一食とうもろこしご飯100g-150g、塩の汁だけが提供され、飲み水もまともに供給されなかったという。

強制労働の場合、主に保安局の就業地に連れて行って働かされる。 また、保安局から指示される各種の建設地に連れて行かれて仕事をし、冬は伐採地に送って働かせる。 伐採地は主に咸鏡北道清津市青岩(チョンアム)区域橋院里(キョウォンリ)の山中に位置している。脱北者の証言によれば強制労働は午前8時から午後6時(日没の頃)まで続き、休み時間はないという。 また、強制労働の過程で頻繁に殴打され、労働能力の低い老弱者がよく殴打されるという。 その他随時に拷問や暴行が行なわれるが、本件の場合は就業地で食物(飲み水)不許可、生理的欲求の解決(トイレ)意志の剥奪、医療サービスが許されずに収監者を拷問したと見られる。

松坪集結所の医療施設の場合、一部屋の診療室に対する証言が交錯するが、その理由は集結所の中に診療所があったとしても、証言者の中には診療所を利用せずに知らなかったり、労働鍛練隊や保衛部から集結所に移送される、収監者の集結所の受け入れ具合によって診療室が拘禁室に使われるからと見える。 また医師が一人いるという証言があるが、収監経験者は集結所の中で適切な医療サービスは受けられないと証言している。

1.不法拘禁

「朝鮮民主主義人民共和国刑法第7章一般行政管理秩序を侵害した犯罪、第1節一般行政管理秩序を侵害した犯罪、第233条(不法に国境を出入りした罪)」
- 不法に国境を行き来した者は2年以下の労働鍛練刑に処する。情状が重い場合には3年以下の労働教化刑に処する。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部9条1項」
- すべて人は身体の自由と安全に対する権利を持つ。誰もが恣意的に逮捕されたり、または抑留されない。 どこの誰も法律に定めた理由および手続きに従わずには、その自由を剥奪されない。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部10条1項」
- 自由を剥奪されたすべての人は人道的に、また人間固有の尊厳性を尊重して取り扱われる。

2.生命権

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第10条3項1節」
- 刑務所収監制度は服役者らの校正と社会復帰を基本的な目的とする処遇を含む。
「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第6条1項」
すべて人は固有の生命権を持つ。この権利は法律によって保護される。どこの誰も恣意的に自身の生命を剥奪されない。
「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第10条1項」
- 自由を剥奪されたすべての人は人道的に、また人間の固有な尊厳性を尊重して取り扱われる。

3.拷問および暴行

「世界人権宣言第5条」
- どこの誰も拷問および残酷な・非人道的な、または屈辱的な待遇や処罰の対象になってはならない。
「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第7条」
- どこの誰も拷問または残酷な非人道的な、または屈辱的な取り扱い、または刑罰を受けない。 特に誰でも自身の自由な同意なしに、医学的または科学的な実験を受けない。
「拷問およびその他の残酷な・非人道的なまたは、屈辱的な待遇や処罰の防止に関する協約」

  4.加害容疑者

「朝鮮民主主義人民共和国刑法第6章社会主義文化を侵害した罪、第208条(治療拒否罪)」
- 医療従事者が特別な理由なく往診と治療を拒否し、患者を死に至らしめた場合は2年以下の労働教化刑に処する。
「朝鮮民主主義人民共和国刑法第7章一般行政管理秩序を侵害した犯罪、第2節管理従事者の職務上犯罪、第246条(職権乱用罪)」
- 管理従事者が利己的な目的から職権を乱用し、厳重な結果を起こした場合は2年以下の労働鍛練刑に処する。 情状が重い場合は4年以下の労働教化刑に処する。

「朝鮮民主主義人民共和国人民保健法第6章保健機関と保健従事者、第42条」
- 保健従事者は患者に親切に接し、あらゆる知恵と誠意を尽くして治療しなければならない。

「朝鮮民主主義人民共和国民法、第4編民事責任と民事時効制度、第1章、第248条 (人身侵害の損害補償)」
- 人の健康と生命に害を与えた機関、企業所、団体と公民は、該当する損害を補償しなければならない。



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