北朝鮮人権情報センターニュース(23)保衛部員が咸鏡北道で、彼の暴力を止めようとした青年を銃で脅し、さらに青年の母親を殺害 

└ 2012-10-12 08:35

北朝鮮人権情報センターニュース(23)保衛部員が咸鏡北道で、彼の暴力を止めようとした青年を銃で脅し、さらに青年の母親を殺害 

事件の概要

2009年咸鏡北道茂山郡車踰里に居住していたシン・テボンは、チョ・ソンチョルの妹を車踰里の担当保衛員の殴打から救おうと揉めている内に、担当保衛指導員に銃で脅された。この光景を目撃したシン・テボンの母は、これをなだめようとして体がぶつかり、撃発した弾丸が心臓を貫通し即死した。

事件の発生時期および場所

発生時期(期間) : 2009年

発生場所 : 咸鏡北道茂山郡車踰里の村の道端

人権侵害の類型

権利の類型 : 生命権
侵害の類型 : 即決処刑

即決処刑

細部な項目 : 偶発的で衝動的な殺害

2009年咸鏡北道茂山郡車踰里に居住していたシン・テボンは同じ村で平素から知り合いだったチョ・ソンチョルの妹が、村の道端で保衛指導員に殴打される現場を目撃した。当時、車踰里の担当保衛指導員はチョ・ソンチョルの妹に、中国に行った後失踪したチョ・ソンチョルの行方を問い質していたところ、妹が兄の行方をなぜ自分に聞くのかと言い返すので、腹を立てた指導員が殴りかかろうとした。丁度現場を通りかかったシン・テボンは、指導員が酒に酔ってチョ・ソンチョルの妹を殴打していたと思い、「保衛員同志、なぜそんなことを?」と保衛指導員の行動をなだめようとした。これで逆に一層激怒した保衛指導員は携帯していた銃を抜き出し、シン・テボンを狙って立ち去れと脅した。この場面をシン・テボンの母が見て走り寄り、弾丸が心臓を貫通し現場で即死した。

"ですからその指導員が銃を既に撃とうとして安全装置を外したんです。それで争っている内に誤って弾丸が発射されたのです。その保衛指導員は道の保衛部へ(取り調べに)行ったのですが、制服は脱いでいません。だから恐らく文件では、そのおばさんが走り寄って事故になったとしたのでしょう。お葬式も出していないのは、何とか穏便に処理しようと保衛部で文件をそのようにした筈です。"

被害者

シン・テボンの母(女、1950年代生れ、咸鏡北道茂山郡車踰里、現在死亡)

加害容疑者(機関)

車踰里の保衛指導員(男、年齢未詳、咸鏡北道茂山郡車踰里保衛指導員)

情報提供者

情報提供者は上の事件を北朝鮮で直接目撃し、2010年韓国に入国した後これに対して証言したが、自身の身辺安全上の理由から実名の公開を許諾しなかった。

情報の出処 : (社)北朝鮮人権情報センター人権調査面接紙

情報受付時期 : 2010年10月

情報受付場所 : 北朝鮮人権記録調査室

情報受付方法 : 面談調査

情報取得および事件分析者 : 北朝鮮人権情報センター研究員

検証者 : 北朝鮮人権情報センター北朝鮮人権事件リポート検証委員会

国家安全保衛部は1973年、政務院傘下社会安全部から政治保衛部門だけを独立させ、国家政治保衛部という名称で設立された。その後1982年最高人民会議で「国家保衛部」として独立したが、1993年に今の「国家安全保衛部」に改称され、金正日死亡後金正恩が直接統制していると知られている。国家安全保衛部(以下、保衛部)の任務は金日成、金正日、金正恩父子に対する誹謗事件の調査及び政治犯収容所の管理、反国家行為者及び対スパイ捜査、空港や港湾等の出入り統制及び密輸取締り、海外情報収集または工場、護衛総局の協助の下、金正日、金正恩をはじめとした高級幹部の護衛、国境警備及び脱北者の逮捕及び拘禁調査、対内外情報収集、反党及び反国家事犯等の管理を遂行し、査察業務と党組織指導部から下達される特別事業を進行する等、多様で包括的な任務を遂行している。

組織構成は部長の下に組織、宣伝、人事、監視、後方支援、保安等を機能別に担当する6名の副部長がいて、傘下に行政単位別で里(日本の町村に相当)単位まで保衛部を置き、保衛指導員を常駐させている。

一般的に保衛部が住民を査察する原則と基準は、「党の唯一思想体系確立10大原則」なので保衛部の権限と影響力はこの上なく強力である。即ち何の法的な手続きも踏まずに容疑者を拘束し、裁判なく処刑できる権限を持っている。特に保衛指導員による逮捕の特徴は、逮捕の基準が明白でなく、状況によって非常に可変(流動)的なことだ。

また保衛員は除隊するまで、常に拳銃を身に着けている。家の中でも秘密の武器庫を作ってその中で拳銃を保管し、拳銃は片時も身から離さないように教育を受ける。拳銃には予備弾倉まで含み14発まで保有する。保衛員は先ず脅しの弾を撃って威嚇した後に実弾を発射しなければならず、直ぐに実弾射撃をすることは法に抵触する行動だが、このような手続きを遵守しないケースが頻繁という調査結果が出ている。

北朝鮮の刑事訴訟法は捜査と予審の主体を明かにしているが、捜査機関を制限する条件は明示されていない。これは捜査が行われる前に、犯罪の類型を把握することが事実上困難なせいでもある。加えて一般の住民は、逮捕され一連の法的な手続きを経ても、自分がどんな罪名によって逮捕、捜査、処罰されるのか、知らないケースが多い。

北朝鮮人権情報センターの「NKDB統合人権DB」によれば2012年7月31日現在、生命権の即決処刑の内、偶発的で衝動的な殺害事件は48件、公務員(国家権力機関)による個人的殺人49件等と記録されている。

1.生命権

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第6条1項」
- すべての人間は、生命に対する固有の権利を有する。この権利は、法律によって保護される。何人も、恣意的にその生命を奪われない。

2.加害容疑者

「朝鮮民主主義人民共和国 刑法第9章 公民の生命財産を侵害した罪、第1節 生命、健康、人格を侵害した罪、第281条 正当防衛超過殺人罪」
- 正当防衛の程度を超えたり職務執行上、義務実行上必要な程度を超えた行為を行い、人を殺した者は3年以下の労働教化刑に処する。

「朝鮮民主主義人民共和国 刑法第9章 公民の生命財産を侵害した罪、第1節 生命、健康、人格を侵害した罪、第282条(過失的殺人罪)」
- 人を過失で殺した者は3年以下の労働教化刑に処する。過失で多くの人を殺した者には3年以上8年以下の労働教化刑に処する。



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