北朝鮮人権情報センターニュース(25)教化所収容者のファン・チョルボム、担当保安員の暴力で殺される 

└ 2012-12-02 09:32

北朝鮮人権情報センターニュース(25)教化所収容者のファン・チョルボム、担当保安員の暴力で殺される

事件の概要

2011年3月初め、人民保安部教化局傘下第12号教化所1課落後者班の収監者黄(ファン)チョルボムは、担当保安員金(キム)ミョンチョルと班長朴(パク)ピョンイルの直接暴行及び暴行教唆により死亡。

事件の発生時期および場所
発生時期(期間) : 2011年3月初め

発生場所 : 咸鏡北道(ハムギョンプクト)会寧市(フェリョンシ)全巨里(チョンゴリ)人民保安部教化局傘下第12号教化所の本所1課と落後者監房

人権侵害の類型

権利の類型 : 生命権 / 個人の尊厳性及び自由権

侵害の類型 : 他の直接的行動による死亡 /拷問及び暴行

細部な項目 : 拷問と蛮行の結果 / 殴打(暴行)

被害者黄チョルボムは2011年3月初め事件当時、咸鏡北道会寧市全巨里に位置する人民保安部教化局傘下の第12号教化所1課落後者班に配定され服役中だった。事件の発端は1課落後者班に所属するある収監者が、教化所の規定を破って監房まで隠し持って来た麺食の一部を盗まれたが、彼はいきなり黄チョルボムを犯人と疑ってかかったことから始まった。

黄チョルボムは自分の仕業でないと最後まで否認したが、担当保安員の金ミョンチョルは普段から目を付けていた黄チョルボムを犯人と決めつけて、夕方の総和時間(集中攻撃で毎日行われる反省会)に監房で約1時間の間、棒で殴打した。金ミョンチョルが使った鈍器は長さ1.2メートル、直径3センチのクヌギの棒だった。

こうして始まった殴打は、その後5日間繰り返えされた。作業場では担当保安員の金ミョンチョルが被害者を殴打し、夜は監房で1課の落後者班班長朴ピョンイルが他の収監者を使って黄チョルボムに集団暴行を働いた。例えば班長が扉のそばに被害者を立たせておき、同僚の収監者に一人ずつ入るたびに殴ってから通り過ぎるよう指示したりした。また就寝時間には、囚人が使う2段ベッドの下の階を使っている黄チョルボムを横にならせずに座らせて、被害者は低いベッドの下の天井に頭を入れられなくて、首を前に90度倒した姿勢のまま夜を明かすようにさせた。

殴打が始まって5日目の朝、黄チョルボムは作業場で約15分間金ミョンチョルに棒で殴られ気絶した。班長の朴ピョンイルは後で気を取り戻した黄チョルボムを夕方監房に連れて来て、他の収監者に再び暴行を加えるよう指示し、黄チョルボムは再び気絶したが、今度は目覚めることもなく、そのまま死亡した。

“黄チョルボムには面会に来る人がいませんでした。温順な人でした。死んだ日の朝は、殴られ卒倒してしまいました。ミョンチョルという保安員が棒で15分程滅多打ちにして、倒れると踏みつけて、無理矢理起こしてはまた殴って、それで卒倒しました。卒倒して横たわっていて、作業が終わって監房に連れて来ると班長が子分たちに殴らせて、また卒倒して死亡しました。あれは意図的に殺したのです。殴る時には、思いっ切り強く殴らせます。普通憎い人に対しては強く殴り、そうでもなければそっと軽く殴るのですが、もしもそれが班長にばれると自分の立場が悪くなるので、ほとんど皆が強く殴ります。どちらにせよ自分より力が弱い者に対しては皆獣のように扱って、他人を踏みにじって這い出さなければ生き残れない所ですよ。”

被害者

黄チョルボム(男、1987年生まれ、咸鏡北道慶源郡(現在はセッピョル郡と改名)キョド地域市出身、死亡)

加害容疑者(機関)

金ミョンチョル(男、年齢未詳、咸鏡北道会寧市全巨里居住、事件当時人民保安部教化局傘下の第12号教化所1課落後者班担当保安員)

朴ピョンイル(男、1981年生まれ、咸鏡北道羅先市(ラソンシ)豆満江洞(トゥマンガンドン)出身、咸鏡北道会寧市全巨里人民保安部教化局傘下の第12号教化所1課落後者班の班長(収監者の中から保安員によって任命される)

情報提供者

・ 情報提供者は上の事件を北朝鮮で直接目撃し、2011年韓国へ脱北した後これに対して証言したが、自身の身辺安全上の理由から実名の公開を許諾していない。

情報の出処 : (社)北朝鮮人権情報センター人権調査面接紙

情報受付時期 : 2012年9月

情報受付場所 : 北朝鮮人権記録調査室

情報受付方法 : 面談調査

情報取得および事件分析者 : 北朝鮮人権情報センター研究員

検証者 : 北朝鮮人権情報センター北朝鮮人権事件リポート検証委員会

朝鮮民主主義人民共和国の刑法によると刑罰の種類は8種類で、犯罪の重さによって死刑、無期労働教化刑、有期労働教化刑、労働鍛錬刑、選挙権剥奪刑、財産没収刑、資格剥奪刑、資格停止刑の順に区別される。この内、無期労働教化刑や有期労働教化刑に該当する犯罪者を収容し刑の執行をする所が教化所で、現在までNKDBで確認した北朝鮮内の教化所は咸鏡北道会寧市全巨里第12教化所を含む23ヶ所と明らかになった。

教化所に拘禁された収監者は一定期間新入班で生活し、教化所内の規則遵守及び今後の労働に必要な基本的な事項を習得した後、多様な作業班に配置されて労働をすることになる。今回の事件の被害者が所属していた咸鏡北道会寧市全巨里の人民保安部教化局傘下第12号教化所1課内には、生産のための公務班、木工班、車の修理班の他にも、作業がのろかったり教化所内で問題を起こした罪人を別に集めて管理する落後者班が存在する。落後者班は他の一般作業班より過酷な作業が強いられるだけでなく、所属収監者に対する待遇がより劣悪だと伝えられている。

担当保安員は教化所の行政体系で主に教化課に属すが、担当保安員は収監者に作業班を割当てて管理し、収監者たちの動態を把握するために雑役組長、面会班長、構内班長らを管理・統制する。保安員は自身が担当した作業班に属す収監者に対して、生死与奪権を握っている存在であり、ある収監者が自分の不正を指摘したり、従順な態度で服従しない時は、色々と口実をつけて暴行したり、集団暴行を教唆していることが報告された。時には、このような暴行教師が初めから、対象の被害者を殺せと暗黙の指示を出すケースすらある。

保安員が特定収監者を殺す意図で暴行を指示する場合、該当作業班の班長は多様な方法で他の収監者が殴打に参加するようにさせ、被害対象をかばえない雰囲気を作る。事実、各作業班の班長は一般人でなく、収監者の中から1人を担当保安員が指名して同僚の収監者たちを監視させ、彼らの動態を保安員に報告させる。同じ囚人の身分なのだが、班長になると一種の特権が享受できるので、班長は保安員の指示により一層徹底的に服従し、保安員の新任を背に他の収監者たちを不要なまでに押さえつけることが多いと知られている。 NKDB人権調査資料によれば、教化所内の暴行や殴打による人権侵害事件の加害者は保安員の場合が大多数だが、保安員に任命された班長も相当な数の暴行事件を主導したり教唆していると明らかにされた。

北朝鮮人権情報センターの「NKDB統合DB」によれば、2012年7月31日現在、生命権に対して他人からの直接行動による死亡のうち拷問と蛮行による事件は248件、拷問及び暴行のうち殴打事件は2310件等と記録されている。

1.生命権

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第10条3項1節」
- 行刑の制度は、被拘禁者の矯正及び社会復帰を基本的な目的とする処遇を含む。

「市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)第3部第6条1項」
- すべての人間は、生命に対する固有の権利を有する。この権利は、法律によって保護される。何人も、恣意的にその生命を奪われない。

2.拷問および暴行

「世界人権宣言第5条」
- 何人も拷問および残酷な非人道的な、または屈辱的な待遇や処罰の対象になってはならない。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第7条」
- 何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける若しくは刑罰を受けない。特に、何人も、その自由な同意なしに医学的又は科学的実験を受けない。

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部第10条1項」
- 自由を剥奪されたすべての人は人道的に、また人間の固有な尊厳性を尊重して取り扱われる。

「拷問およびその他の残酷で非人道的な、または屈辱的な待遇や処罰の防止に関する協約」

3.加害容疑者(朴ピョンイル)

「朝鮮民主主義人民共和国刑法第9章公民の生命財産を侵害した罪、第1節生命、健康、人格を侵害した罪、第279条(故意的軽殺人罪)」
- 貪欲、嫉妬、その他卑劣で、動機もなく故意に人を殺した者は、3年以上10年以下の労働教化刑に処す。情状が重い場合には、10年以上の労働教化刑に処す。

「朝鮮民主主義人民共和国刑法第7章 一般行政管理秩序を侵害した罪、第2節管理従事者の職務上の罪、第283条(故意による重傷害罪)」
- 故意に人の生命に危険なほどの重傷を負わせたり、目、耳、その他の機能を失わせたり、顔にひどい傷跡をしたり、精神病を起こさせたり、労働能力を顕著に落とさせた者は5年以下の労働教化刑に処する。前項の行為で被害者を死に至らしめたり、前項の行為を残忍な方法で行ったり、または共謀したり、色々な人に重傷を負わせた場合には5年以上10年以下の労働教化刑に処する。情状が重い場合には10年以上の労働教化刑に処する。

4.加害容疑者(金ミョンチョル)

「朝鮮民主主義人民共和国刑法第9章公民の生命財産を侵害した罪、第1節生命、健康、人格を侵害した罪、第279条(故意的軽殺人罪)」
- 貪欲、嫉妬、その他卑劣で、動機もなく故意に人を殺した者は、3年以上10年以下の労働教化刑に処す。情状が重い場合には、10年以上の労働教化刑に処す。

「朝鮮民主主義人民共和国刑法第2章一般規定、第1節犯罪、第22条(共犯事件において、教唆者、幇助者に対する刑事責任)」
- 犯罪組織体でない共犯において、教唆者、幇助者に対しては、実行者に適用する条項にしたがって刑事責任を負う。教唆者は実行者と同じに、若しくは重く、幇助者は実行者同じに、若しくは軽く処罰する。



HOME

守る会

組織
呼びかけ
会則
入会のご案内
脱北者あしなが基金
帰国事業訴訟支援

NEWS

北朝鮮最新情報

デイリーNK、開かれた北朝鮮放送等の情報です。

帰国者の証言

音声・動画ファイル

集会案内

守る会および関係諸団体の集会の案内です。

声明

守る会の声明です。

かるめぎ

守る会の機関誌「かるめぎ」を紹介します。

光射せ!

守る会の理論誌「光射せ!」を紹介します。

北韓人権

北韓人権市民連合ニュースレターの紹介

資料集

書籍/映像紹介

リンク集

過去ログ

旧ホームページのすべてを収蔵しています。ただし、一部古くなっている情報もありますので、疑問の点はお問い合わせ下さい。

光射せ!


News RSS

 

管理

This site is powered by CMS Designer.