北朝鮮人権情報センターニュース(30)脱北女性キム・オクチュンが8歳の娘とともに中国から北朝鮮に強制送還されその後行方不明(政治犯収容所送りの危険性高い)  

└ 2013-04-03 12:43

北朝鮮人権情報センターニュース(30)脱北女性キム・オクチュンが8歳の娘とともに中国から北朝鮮に強制送還されその後行方不明(政治犯収容所送りの危険性高い) 


事件の概要

2008年春、キム・オクチュン(金玉春)と8歳の娘ユ・ホンギョンは一緒に中国から北朝鮮へ強制送還された後、同じ年の7月失踪した。

事件の発生時期および場所
発生時期(期間) : 2008年7月
発生場所 : 両江道(リャンガンド)道保衛部および両江道大紅湍郡テホンダングン)農事洞(ノンサドン)12班キム・オクチュンの自宅

人権侵害の類型

権利の類型 : 個人の尊厳性および自由権

侵害の類型 : 不法拘禁

細部な項目 : 政治犯収容所

両江道大紅湍郡農事洞12班に居住していたキム・オクチュンは、2007年秋娘ユ・ホンギョンと共に中国に渡って行き2008年春北朝鮮へ強制送還され茂山郡(ムサングン)保衛部、大紅湍郡保衛部、両江道道保衛部を経ながら、韓国行を試みたことに対して取調べを受けた。一緒に送還された8歳の児童ユ・ホンギョンは、キム・オクチュンが茂山(ムサン)から大紅湍郡保衛部へ移監される時、大紅湍に居住していた母方の祖母に任せられ、キム・オクチュンだけは再び恵山市(ヘサンシ)に位置する両江道道保衛部に移送された。

キム・オクチュンの娘が釈放された後、約2ヶ月が流れた2008年の7月ある日貨物車一台が、キム・オクチュンの実家の母と兄が当時居住していた、以前のキム・オクチュンの自宅に来て、キム・オクチュンの家財道具と娘のユ・ホンギョンを乗せて行った。キム・オクチュンの家族には、キム・オクチュンと彼女の娘がどこへ行くのかに対する情報が全く提供されなかった。周辺の隣人たちは彼女たちが未詳の政治犯収容所に拘禁されたと推測しているが、現在までこの二人の正確な行方と生存の有無は不透明な状況だ。

“ある日、道保衛部から貨物車が来たが、オクチュンの家に車で乗り込み荷物を積み始めました、オクチュンが使っていた荷物を。その荷物をみな乗せて、子供までも連れて行ったのです。オクチュンを収容所に送るのに、その娘までも連れて行ったんです。出て来られません、こういう韓国行きを試みて入れられたら。出て来られません、完全に。ただ、死ぬ時まで、そこにいなければなりません。”

被害者
キム・オクチュン(女、1964年7月生れ、両江道大紅湍郡農事洞12班、失踪)
ユ・ホンギョン(女、2001年生れ、両江道大紅湍郡農事洞12班、失踪)

加害容疑者(機関)
両江道道保衛部

情報提供者
・ 情報提供者は上の事件を北朝鮮で直接目撃し、韓国へ脱北した後これに対して証言したが、自身の身辺安全上の理由から実名公開を許諾していない。

情報の出処 : (社)北朝鮮人権情報センター人権調査面接紙

情報受付時期 : 2013年1月

情報受付場所 : 北朝鮮人権記録調査室

情報受付方法 : 面談調査

情報取得および事件分析者 : 北朝鮮人権情報センター研究員

検証者 : 北朝鮮人権情報センター北朝鮮人権事件リポート検証委員会

北朝鮮の政治犯収容所は、政治的な事件に関連した関係者とその家族を公式な裁判の手続きなしに受け入れて、苛酷に処罰する社会から隔離された特別拘禁施設である。北朝鮮の政治犯収容所に対する名称は多様だが、韓国では主に「政治犯収容所」と命名されていて、北朝鮮内部では「管理所」という用語が最も一般的に使われている。その名称からわかるように政治犯を管理する所として知られているが、北朝鮮当局が規定する政治犯の定義は明らかになっていない。

政治犯収容所は北朝鮮の「恐怖政治の核心」と見ることができる。この事件で陳述されたように、不意に被疑者の家に押しかけて貨物車に家財道具と残りの家族を乗せて消える形態が、国家安全保衛部の最も一般的な政治犯の連行方式として知られている。したがって北朝鮮の住民たちは国家安全保衛部によって政治犯として逮捕され政治犯収容所に収監される場合、本人はもちろん家族まで連帯して処罰されると認識しているので、政治犯収容所に対する極度の恐怖心を持っている。北朝鮮当局はこのような恐怖心を活用して、住民の生活と思想を徹底的に統制し、閉鎖的な北朝鮮体制を固く維持しているのである。

しかし北朝鮮の法律と行刑体系からは、政治犯収容所の名称と設置、運営根拠を明示している関連規定は現在まで明らかになっていない。したがって北朝鮮の政治犯収容所の概念と運営現況および実状は、経験者と関係者の証言に依存するしかない。。

北朝鮮の政治犯収容所収監者はほとんどの自身の過ちではない連座制によって収容されるし、その人たちは調査と裁判の過程が省略されたまま収監されるので、自身の罪名はもちろん刑期も分からない状態で、一生生きていく。ほとんどの政治犯が完全統制区域で終身刑を喰らっているので、釈放に対する一抹の希望や夢もなく、肉体の生存のための動物的な暮らしを送っている。政治犯収容者のこのような心理的、情緒的苦痛の他にも、収容所内での徹底した抑圧と統制、相互監視体制、そして生存を脅かす食べ物不足と過酷な労働のせいで、収監者たちは常時生命の危険に曝されている。収容所の収監者には、人間らしい生存に必要な最小限の基本権、すなわち衣食住と保健、医療、教育、作業環境などが全く保障されないので、彼らは過去奴隷制社会の奴隷と変わりない取扱いを受ける。現在13万人余りの北朝鮮人民が「政治思想犯」として政治犯収容所に収監され、このような残酷な人権蹂躪を受けている。

北朝鮮人権情報センターの「NKDB統合DB」によれば2012年7月31日現在、政治犯収容所に不法拘禁された申告件数は2,831件である。

1.10歳未満の児童の拘禁

「朝鮮民主主義人民共和国 刑法第2章第1節第11条(刑事責任の年齢)」
- 犯罪を犯した当時、14歳以上の者だけが刑事責任を負う。

「朝鮮民主主義人民共和国 児童権利保障法 第5章 司法分野での児童権利保障(児童に対する刑事責任の追及および死刑の禁止) 」
- 14歳に至らない児童には刑事責任を負わせず、犯罪を犯した当時14歳以上に達した児童に対しては死刑を適用しない。

「児童の権利に関する協約第37条(a)項」
- いかなる児童も拷問またはその他、残酷だったり非人間的で屈辱的な待遇や処罰を受けない。死刑または釈放の可能性がない終身刑は、18歳未満の者が犯した犯罪に対して科してはならない。

「児童の権利に関する協約第37条(b)項」
- いかなる児童も違法に、または恣意的に自由を剥奪されない。児童の逮捕、抑留または、拘禁は、法律に従って行われなければならず、ただ最後の手段として、また適切な最短期間の間だけを使用されなければならない。

「児童の権利に関する協約第37条(c)項」
自由を剥奪されたすべての児童は、人道主義と人間固有の尊厳性に対する尊重に立脚し、そして彼らの年齢上の必要を考慮して処遇されなければならない。

2.不法拘禁

「市民的および政治的権利に関する規約(B規約)第3部9条1項」
- すべて人は身体の自由と安全に対する権利を持つ。誰もが恣意的に逮捕されたり、または抑留されない。どこの誰も法律に定めた理由および手続きに沿わずには、その自由を剥奪されない。

「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」
- いずれの者も、秘密拘禁の状態に置かれない。

「朝鮮民主主義人民共和国 刑事訴訟法 第7章 予審、第183条(逮捕、拘束の通知」
- 逮捕、拘束処分決定をしたときには、被疑者にすぐに通知し、逮捕、拘束したときから48時間内に逮捕、拘束の事由と拘束場所を、その家族または所属団体に通知しなければならない。

3.加害容疑者

「朝鮮民主主義人民共和国 刑法第7章一般行政管理秩序を侵害した罪第2節管理職の職務上の罪 第252条(不法逮捕、拘束、捜索罪)」
-法従事者が不法に人を逮捕、拘束、拘引したり、体もしくは住居を捜索したり財産を押収、没収した場合は2年以下の労働教化刑に処する。前項の行為を何度も行ったり、前項の行為で社会的物議をかもした場合は、3年以下の労働教化刑に処する。



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